あなたが不動産を売却したときには買主に移転登記をしますが、その際売主であるあなたの権利証が必要となります。しかし、権利証は紛失の理由を問わず再発行はされませんので、権利証を紛失した場合には、あなたがその不動産の真の名義人かどうかを確認する別の制度を利用して登記申請をすることになります。
では、紛失等で権利証をなくした方が利用する2つの制度を簡単に説明します。まず、事前通知制度です。これは登記申請を受理した登記所(法務局)の登記官から売主であるあなたに対し、確認の書類が送られます。あなたからの間違いない旨の返事を待って、登記を実行する制度です。次に、資格者代理人による本人確認制度です。これは、司法書士等の資格者代理人が売主であるあなたと面談して、あなたの運転免許証やパスポート等の身分証明書の提示を受けて、不動産の所有者本人に間違いないと確認した旨などを記載した報告書を添付して登記申請する制度です。
よって、権利証を紛失したり、盗まれたことによって、あなたの権利証を第三者が所持することになっても、このようにそれだけで名義が変わってしまうことはありません。
なお、不動産登記法の改正により平成17年3月7日からは、全国の登記所で順次、オンライン申請が導入されたのに伴い、従来の権利証は廃止され、現在は登記識別情報の通知がなされるようになり、この登記識別情報に限り、登記官に対し、失効の申出をすることができます。