平成18年4月1日からスタートした高齢者虐待防止法では、65歳以上の高齢者に対する虐待を発見した場合には各市町村に通報するよう定められています。
虐待とは、殴る、蹴る等の「身体的虐待」、食事を与えず栄養失調になっている等の「ネグレクト」、怒鳴る、ののしる等の「心理的虐待」、わいせつな行為をさせる等の「性的虐待」、年金や預貯金を本人の意思に反して使用する等の「経済的虐待」の5つに分類されます。
子供が失業したので生活を助けたい、孫に小遣いをあげたいなど、自分の財産を誰にいくらあげようと自由です。よって、お兄さんがお母さんの年金で生活しているというだけでは経済的虐待ということはできません。
しかし、例えば、親が通帳を奪い取られ親の意に反して年金が勝手に使われている。年金を使い込んで親が入っている施設の利用料を払わず施設から退去しなければならなくなった。年金で親の世話もしているけれど、一日一食しか与えず親は栄養失調になっているなどの場合には、経済的虐待に該当する可能性があります。
虐待であると認定された場合には、虐待をしている人と虐待をされている本人を強制的に分離させることができる場合があります。
なお、本人が認知症などにより自分では財産の管理ができない状態であれば、本人の権利や財産を守るために成年後見制度の利用も検討すべきではないでしょうか。
高齢者に対する虐待の疑いのある場合は、市町村役場の担当者や司法書士などの法律専門家にご相談下さい。