離婚するにあたって、財産分与という夫婦の共有財産を分ける制度があります。夫婦の一方(夫又は妻)の名義になっていても、夫婦で協力して築いた財産は離婚するときに公平に分けることを目的としています。
例えば、妻が家事労働で家庭を守り、夫が事業で財産を形成した場合は、家事労働あってこそ、夫は事業に専念でき、その結果の財産形成ですから、一部は妻のものだと考えられます。また、この財産分与は、離婚後の生活を守るための制度でもあります。その意味で離婚の原因がどちらにあろうとも財産分与は生じます。離婚の原因が一方にある場合は、慰謝料を含んで財産分与が行われることもあります。
さて、慰謝料ですが、これは離婚の原因が一方の不法行為(例えば浮気や暴力など)である場合、責任のある者(有責者と言います)が精神的な損害を与えた相手方に支払うものです。その額は、離婚原因、結婚生活の長さなどを考慮して決められ、一概にいくらとは言えません。協議離婚では、早く別れたいため、慰謝料の請求をあきらめて離婚届に判を押す場合も多く見られます。
財産分与は離婚してから2年、慰謝料は原則として離婚してから3年経過すると請求できなくなります。十分注意してください。夫婦間で財産分与や慰謝料について話し合いがまとまった場合には、必ず書面にして残しておきましょう。どうしても話がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停などの方法もありますので、お近くの弁護士や司法書士など法律専門家にご相談ください。