賃貸人の都合で、家賃の滞納などの落ち度のない賃借人に建物の明渡しを請求するには、「正当の事由」が必要です。正当事由の有無については、①賃貸人・賃借人のそれぞれが建物の使用を必要とする事情、②これまでの賃貸借の経過、③建物の利用状況、④建物の現況、⑤賃貸人が建物の明渡しの条件として立退料の支払いを申し出た場合にはその申出についてなど双方の事情が総合的に考慮され、判断されます。
賃貸人に「正当の事由」がない場合は、立ち退く必要はありません。また、退去する場合には、賃貸人側の正当事由の補完として、立退料を支払って貰える場合があります。立退きを要求する「正当の事由」の有無については、判断が難しい場合が多いので、お近くの司法書士等、専門家に相談することが望ましいでしょう。